函館の海を背景に、岸壁へ並べて置かれた黒いラベルの「イカすコーラ」のペットボトル2本
「ハコダテ イカすコーラ」。函館の海を背景に置いた一枚も、CMのために利用者さんが撮影しました。

まずは、完成した一本から

完成したCMは、PONOのインスタグラム(@pono.hakodate)で公開しています。夏にぴったりの、清涼感のある短い映像です。おかげさまで再生数は2000回を超えました。

登場するのは、真っ黒な炭酸飲料「ハコダテ イカすコーラ」。イカの意匠をあしらったラベルには、「函館発・イカ墨エキス入り」の一文が入っています。もちろん架空の商品です。けれど、ラベルのデザインも、海辺のロケーションも、飲み干したあとの表情も、CMとして成立するようにひとつずつ作り込まれています。

黒地に白のイカを描いた「ハコダテ イカすコーラ」のロゴデザイン。下部に函館発・イカ墨エキス入りの表記
利用者さんが手がけたロゴデザイン。「HAKODATE IKASU COLA」の英字と、イカのシルエットを組み合わせました。

きっかけは「見本がなかった」こと

この企画が始まった理由は、少し意外かもしれません。
PONOでは以前から、映像制作のご依頼を受け付けていました。ところが、いざ「どんなものが作れるんですか」と聞かれたときに、お見せできる見本がなかったのです。

制作を担当した利用者さんは、当時のことをこう振り返っています。

夏にぴったりの清涼感のある架空のコーラのCMを制作しました。PONOでも映像制作依頼を受け付けていますが、実際にどんなものが制作できるか見本がなかったので、制作実績になればと思い制作に至りました。

今後はこれから函館の企業様と協力しながら、映像制作をしていきたいと思っております。

依頼を受ける準備はある。技術もある。足りないのは「これが作れます」と差し出せる一本だけ——。その状態に気づいて、自分たちで埋めにいったということです。
与えられた課題をこなしたのではなく、営業の場面で困っていたことを、制作で解決した。この順番が、今回のいちばんの見どころだと思っています。

架空の商品だからこそ、全部を決められる

題材を「架空の商品」にしたことにも、良さがありました。実在の商品を扱う場合、決まっているものが多くあります。ロゴも、色も、伝えたい要素も、すでに用意されている。
けれど架空の商品なら、名前から決められます。

函館といえば、イカ。そこから「イカすコーラ」という名前が生まれ、「イカ墨エキス入り」という設定がつき、真っ黒な見た目が決まっていきました。ロゴには堂々としたイカのシルエットを置き、白と黒だけで仕上げる。地元の名物と、コーラという飲み物の組み合わせに無理がないよう、細部を寄せていきます。

商品を一から立ち上げる作業は、そのまま「誰に、何を、どう見せるか」を考える練習になります。ラベルの文字を大きくするか、イカを主役にするか。判断のひとつひとつに理由が必要で、そこを言葉にできるかどうかが、次に本物の依頼を受けたときの力になります。

「架空の商品CM ハコダテ・イカすコーラ」と題されたCMの一場面。函館の海を背景に2人がコーラを飲んでいる
CMのワンシーン。出演もPONOの利用者さんです。青い海と黒いボトルの対比が、清涼感につながりました。

撮影・出演・編集・ナレーション。全部、内製で

制作の工程は、すべてPONOの利用者さんが担当しました。

ロケ地に選んだのは、函館の海が見える岸壁です。晴れた日の青い海と空を背景に、黒いボトルを置く。その色の対比が、そのまま「清涼感」という狙いにつながりました。出演したのも利用者さんで、カメラの前でコーラを飲み干す場面を撮影しています。

撮影が終われば、編集です。使う場面を選び、テンポを整え、音を合わせる。CMは短い映像だからこそ、どこを残してどこを削るかの判断がそのまま出来映えに響きます。さらに今回は、ナレーションまで利用者さんが担当しました。声のトーンや読む速さも、映像の印象を決める要素のひとつです。

企画、デザイン、撮影、出演、編集、ナレーション。ひとつの映像に必要な役割を並べてみると、その全部にPONOのメンバーの名前が入ります。誰か一人が背負ったのではなく、それぞれが得意なところを持ち寄って、一本にまとめました。

「作れます」が、目に見えるかたちになりました

今回の一本ができたことで、PONOには説明の仕方がひとつ増えました。「映像制作をやっています」と言葉で伝える代わりに、完成したCMを見ていただけるようになったからです。

これは、制作した利用者さんにとっても同じです。履歴書に書ける経歴とはまた別に、「これを作りました」と自分で差し出せるものがある。就労を考えるとき、この違いは小さくありません。
作業に取り組む理由が「言われたから」ではなく「見てもらいたいから」に変わると、身につくスピードも変わってきます。楽しみながら手を動かした結果が、そのまま実績として残っていく。PONOがクリエイティブな作業を中心に据えているのは、その循環をつくりたいからです。

もちろん、はじめから全部ができたわけではありません。カメラの構え方も、編集ソフトの操作も、最初は誰もが手探りです。一本を完成まで持っていく経験を重ねるなかで、少しずつ確かな手応えに変わっていきます。

映像制作のご依頼を受け付けています

PONOでは、今回のような簡単なCM風動画をはじめ、映像制作のご依頼を受け付けています。SNS用の短い動画、商品やお店の紹介、イベントの記録など、内容に応じてご相談いただけます。

制作を担当した利用者さんが話していたとおり、これからは函館の企業のみなさまと一緒に映像をつくっていきたいと考えています。「こんなものは作れますか」というご相談だけでも構いません。まずはお気軽にお問い合わせください。

PONOの作業と、通い方について

PONOは、函館市本町にある就労継続支援B型事業所です。動画編集、音楽制作、写真撮影、デザインなど、クリエイティブな作業を中心に取り組んでいます。

B型事業所というと軽作業をイメージされる方も多いかもしれませんが、PONOでは撮る・つくる・発信するといった作業を組み合わせています。作業のペースは一人ひとり違って構いません。今回のCM制作のように全工程に関わる方もいれば、編集だけ、デザインだけを担当する方もいます。
「映像は未経験だけれど興味がある」「まずは雰囲気だけ見てみたい」という段階でのご相談も歓迎しています。見学の日程が決まっていなくても、空き状況や作業内容だけ先に聞いていただけます。

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※「ハコダテ イカすコーラ」は、利用者さんが企画した架空の商品です。実在の商品ではありません。

※本記事に掲載している写真は、撮影時に本人の許諾を得て撮影・掲載しています。掲載の取り下げをご希望の場合は、PONOまでお問い合わせください。